<Liver trial>











「はい質問です!」
唐突に後ろを降り向き人差し指を立てる。
「今日は何日でしょう!!」
元気が良いのか…妙にテンションの高いテニス部マネージャー
朝から嬉しそうにうずうずしていて口を開こうとしては閉じて…と繰り返している。
「はいちょた君」
妙な振りに着いて行けない鳳は一瞬後退りする。
「え?」
「おい…」
余りに驚いて口をパクパクさせた儘の後輩を哀れに思ったのかダブルスパートナーの宍戸亮が止めに入る。
「んじゃ亮ちゃん」
「七夕だろ?」
今日は7月7日。
世間一般では七夕…織姫と彦星が年に一度出会う事の出来る日。
と伝説上では語られている。
「バッッッッッッカじゃないの?!」
大抵の人間ならば7月7日は七夕と答えるであろう。
しかしそれが何故か思いっきり否定されてしまった。
「何だよ普通そう答えるだろ」
「何言ってんのよ、七夕なんて『ななゆう』って書いて『たなばた』とか有得ないし、如何でも良いし」
が変わってるのは今に始まった事ではないが、今日は一段と変である。
「『しのびあし』って書いて『おしたり』って読む位如何でも良いし」
差出していた手を腰に当てて偉そうに胸を張る。
「俺関係ないやろ」
的確な突っ込みも軽くスルー。
「景吾は何だと思う?」
樺地と共に少し離れた所で見ていた氷帝のテニス部部長に話を振る。
「アーン?俺が知るか」
「はーいではでは、今日の夜7時半に懐中電灯持って学校集合!」
誰も特に知りたい訳ではないのだが、一方的に言うだけ言って一人帰ってしまった。
『因みに、拒否権は無いからv』
こう言う風に言う時は破ると有得ない仕返しを食らう事を彼らは知っている。
残っていたメンバーは跡部・忍足・樺地・宍戸・鳳の5人である。
向日・芥川・日吉ら3人は用事の為の計画には関らなくて住んだ。
その3人を心の中で彼らが怨んだ事は言うまでもない。



P.M 7:20



ぞろぞろと集まりつつあるメンバー達。
だが、その中にの姿は無い。
「なんや来てないやんか」
残るは言いだしっぺのと跡部だけ。
人に待たされるのは嫌いな跡部は何時も時間ぎりぎりに来る。
も一応は待ち合わせには遅刻しない筈だがもうすぐ時間になる。
「おい、は来てねぇのか」
跡部が自家用車から降りながら眉を顰める。
他の4人に比べて明らかに服装の違う跡部。
ラフなシャツにジーンズを穿いてるメンバーは跡部の服装に付いて深く突っ込むのを止め様としていた。
「あ、居た居た〜」
手を振りながら少し走る。
普段は見ないの私服、きちんと着こなされている。
「お待たせ」
少し揚がった息を整えながら前屈みになり膝に手を付く。
肩より長い髪が顔に掛かるのを右手で掻揚げて笑顔を見せる。
「で、一体何なんだよ」
急かす様に宍戸が尋ねるが、は笑って答え様としない。
「んじゃ行こっか」
「学校じゃないんですか?」
が進む先は学校を通り過ぎて行く。








歩く事15分







「未だ着かねぇのか?」
そろそろキレそうな跡部を横目には足を止めた。
「着いたよ」
足を止めが向いた方向は良く『デる』と言う噂の多い古い洋館だった。
もう洋館の持ち主は居らず長い事放置されている。
そこに入った人間は必ずと言って良い程怪現象や不思議体験をすると言う。
「「「オイ!何で此処なん(や)だよ」」」
見事に声を揃えた3年組。
2年組はやはり先輩だからか反論出来ずに立ち尽くしている。
「折角来たんだし肝試しやろ」
満面の笑みを浮かべては箱を取り出した。
「3色の色着いた紙入ってるから同じ色の人がペアね」
「ちょぉ待てや、何で此処まで来て男と組まなアカンの」
尤もである。
幾らテニスに青春を掛ける中学生と言っても彼らは未だ中学男子生徒なのだ。
何が悲しくて同じ部活の同性と肝試しをしなければならないのか…。
「じゃあ如何すんのさ」
「お前が5回回れば良いだけだろ」
跡部の提案に反対する者はだけ。
「せやなぁ」
「まぁ…それなら」
と納得しつつある。
「何であたしが5回も肝なんか試さなきゃなんないの?!」
胸を張って偉そうに言える立場ではない。
自分から切り出したのだから。
「じゃあ良いや、みんなで行くって事で」
5回も歩きたくないはしょうがないと言いながらもやはり肝試しはするらしい。








と言う訳で、やはり最後はの言う通り6人で洋館に入る事になった。
「うっしゃぁ!んじゃ誰から入る?」
「可愛げのないやっちゃな…ホンマにヒロインかいな」
「忍足さん…それは酷いですよ」
忍足が呟くとからハリセンを食らう。
忍足より15センチは低いは頭ではなくハリセンの角で顎を狙う。
バシッ
「いっつ〜」
鳳が溜息を吐いて忍足とを見た。
「忍足から行け」
ハリセンを持った儘腕を組み忍足を睨みつける。
此れ以上何か言ったら確実にがキレると踏んだ忍足は持って来た懐中電灯の電源を入れドアノブに手を掛けた。
それに続き跡部・樺地・宍戸・・鳳。
「ほな、行くで?」
静かに忍足は後ろを向くと5人は頷く。


ギィ〜…カチャ


月明りで入り口付近だけ照らされた洋館は人気もなく、ただあるだけの存在となっていた。





そして、此処から事件は始まって行った。











はい、この夢書いてる時点で七夕終わってます、すみません。
しかも此れ絶対に七夕関係ありません。
無理やり繋げれば無理は無いんですけど…。
ちょっと文才的に無理と言うか…。
余裕があれば七夕に繋げたいです……なんとかして。

2005/07/08